北海道遠征を振り返りたいと思います。順番的には函館のTVロケからですが、熱いうちに猿払でのことを書きたいと思います。 今回の旅の裏メインであるイトウ釣り。行く前の情報だと、5月中旬にピークを迎えて最近はかなり厳しいとのこと。このイトウの時期に猿払に長期滞在して釣りをするアングラー…… more さんが、10日目にしてようやく1本目などいい話はありませんでした。 私が滞在した2泊3日の間にも数本の釣果が聞かれた程度。川のアングラー、海のアングラーどちらもみなさん苦戦されていたようです。 1日目の午後ファーストアタックでしたが、雰囲気だけ感じて何もなく終了。途中、遠く離れた場所でイトウのような魚を撮影している模様は目撃しましたが、この日は移動の疲れもあり上がりました。 朝から夕マヅメまで投げれる勝負の2日目。朝一入った場所で振り続けます。すると同行者APIAの宇津木さんにヒット。慎重に寄せてキャッチ。海サクラでした。 このサクラマスの後、ようやく私にも最初の魚信が。ピックアップ寸前に盛り上がった波の中でヒット。グンッ...。ファイト時間0.5秒。フッキング出来ず。魚が反転する姿が見えました。サクラマスのギラッとは違う茶色いような肌。アメマスかそれともイトウか...。待望のファーストコンタクトにチャンスはあると気合が入りましたが、その後、反応はなく朝の部終了。 仮眠を1時間挟み、再び海へ。サーフをカニ歩きで移動しながらキープキャスト。何もないまま時は過ぎ、午後1時。宇津木さんは都合で離脱。帰阪したのですが、その際、ロッドを託されました。開発真っ只中、来年発売予定のFoojin Z ハイローラーのプロトです。それまではGRANDAGE 106MHを使用していました。106MHは大型のオーシャントラウトとやり合えるパワーがありましたが、対イトウと考えた場合、使うルアーが限られてしまうかな？という印象も。ルアーウエイトが軽いとキャストに力みがでて、リトリーブでもジャーク時に力が伝わり過ぎていました。そこに来てプロトのハイローラーはロッド重量も軽く、広いウエイトのルアーを8割の力で飛ばせて、操作性が増したことで、精神的にも集中力を持続させることができました。別次元のロッドとでもいいましょうか...。これが高強度、高弾性率の新素材T1100Gの恩恵なのでしょう。新しい武器を手にして、そのまま休まず夕方まで投げ続けましたが反応は無。途中、フックにザクッとバイトのような違和感が2回だけ。やはり簡単ではありません。明日は最終日。ロッドを振れるのは朝の4時間だけ。最後の勝負です。果たして...。 最終日の朝。初のエリアへ入ります。広大なサーフで50投ほどしたところでしょうか、沖で顔を出している生物が見えました。みるみる近づいてきてルアーの届く範囲で泳いでいます。トドです。ベイトであるオオナゴを追いかけ回しています。さすがにこのプレッシャーはキツイ...。ただそこで浜に打ち寄せられたベイトのオオナゴを発見。 ルアーセレクトは間違いない。ジャクソン アスリートの170。今回の遠征の企画からガイドまでしてくれた北海道トラウト界のカリスマ、ジャークマンこと林さん。その林さんが私に託してくれたルアーです。このルアーを投げ続けることを決め移動します。 タイムリミットまでは2時間。キャスト開始。キャスト、そしてリトリーブ...この1投の動作が30秒くらいだとすると1時間で少くとも100投はしている計算。ここまで投げた時間17時間。ほぼ休みなく続け、背中にも違和感が出てきました。残り1時間。再び魚信が。着水後、2回ジャークしてルアーが止まった時に10数時間ぶりのバイト。ロッドを煽ってファイトに入るも、ジャンプしたのは本命ではなくサクラマス。掛かりが浅く5秒ほどファイトしてフックアウト。そのすぐ後にルアーとは関係ないところでサクラマスが跳ねました。そして近くでもう一回。魚っ気がでてきたか？ベイトが寄っている様子。 そして、10投ほどしたところでしょうか、ジャークしているとコツッと違和感。そこからクルックルッと2回リーリング、その手を止めると同時に引き込まれるロッド。先程掛けた横走りするサクラマスとは違うグンッグンッと重みのある感触。ファイトしている私に気付いた近くのアングラーのみなさんが駆け足で近寄ってきました。重さに耐えながら魚を浮かすと、周りからはイトウだ！との声。慎重に波を味方につけて、後ずさりしながら寄せました。そしてついに白波の中から姿を見せたのは紛れも無いイトウでした。しかも太い。タイムリミットギリギリの奇跡。頭が真っ白に。 夢が手の中に。釣りキチ三平を読んだ少年時代から幻と言われていたこの魚。釣りたい気持ちはあったけどチャレンジしたことなかった魚。なんとか、なんとか、釣ることが出来た夢の魚。写真撮影を手短に済ませ、蘇生をはかり、静かにリリース。大きな魚体をゆっくりとくねらせて海へ戻っていきました。 幼き頃に夢見た魚に初めて挑戦してみて、得たものは計り知れません。自然の中で生きている絶対的なあの姿、迫力。また逢いにいきたい...。そんな気持ちになる釣りでした。 今回の猿払遠征は、林さん、APIA宇津木さん、福岡から毎年猿払に通う女性アングラーのゆうこ姉さん、そして現地のみなさんの協力があり最高の思い出となりました。本当に感謝しかありません。ありがとうございました。 来年またいけるかな。まだ手にしたことない魚に想いを馳せて挑戦を続けたいと思います。 close

フィッシングチームHUNTER'S 2019/06/09